海外に長期滞在をする場合、日本の年金はそのまま払い続けるか悩みました。
わたしの場合は、ドイツに就職が決まっていたこともあり、現地の年金制度に加入する必要があることはわかっていました。
そのため、住民票を抜いた時に日本の国民年金からも脱退して、現在日本での年金納付状況は「カラ期間」になっています。
わたしは金銭的な余裕がなかったため、日本の年金を払うのはやめてしまいましたが、ドイツに長期滞在している人の中には、日本の年金を払い続けている人も結構いました。
わたしの個人的な見解ではありますが、金銭的に余裕があるなら、日本の年金も支払い続けた方がよいと思いますが、私のようにお金がない人は、滞在先の国と日本の年金両方払い続けるなんてムリな話ですよね(泣)
今回は、海外に長期滞在する場合に日本の年金はどうしたらよいのかについてまとめてみます。
*今回の記事で日本の年金とは「国民年金」のことを指します。厚生年金のことはよくわからないので、詳しくは日本年金機構に問い合わせてください。
- 年金支払いの二重負担を防ぐための協定がある
- 海外に長期滞在・移住する場合、日本の年金どうする?
- ワーホリなどの中・短期滞在者はどうする?
- 日本の年金に任意加入しておくメリット
- 「海外に長期滞在する場合、日本での年金どうする?」まとめ
Contents
年金支払いの二重負担を防ぐための協定がある
日本は下記の国と社会保障協定を結んでいます。
この社会保障協定が結ばれている国に住む場合、「年金支払いの二重負担を防ぐ」ことができ、「海外で年金を支払っていた期間を通算する」ことができます。
ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、 オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、(イギリス、韓国=保険料の二重負担防止のみ)
*2017年8月の時点でイタリア、フィリピン、スロバキアはまだ、協定が発効されていません。イギリス、韓国、イタリアは「保険料の二重負担防止」のみで合意。
この協定は海外在住者にとっては、とてもありがたいです。
例えば、わたしは日本国籍を保有しながらドイツで働いています。
本来なら、日本で年金を支払う義務があるはずですが、日本とドイツの間で社会保障協定が結ばれているので、保険料の二重負担をしなくてもよいのです。
この社会保障協定のおかけで、現在は日本の年金は支払いはやめて、ドイツでのみ年金を支払っています。
もうひとつは「海外で年金を支払っていた期間を通算できる」というメリットがあります。
本来なら、日本で払った年金と海外で払って年金は別々に考えられてしまうところを、社会保障協定のおかげで、ドイツで年金を支払っている期間を日本の年金受給条件となる納付期間にプラスすることができます。
わたしのケースですと、ドイツで働き始めたのでは2014年のことです。
それ以降は日本で年金を支払っていません。
日本の年金受給条件として「年金を10年支払うこと」というのがありますよね。(参考:合算対象期間|日本年金機構)
日本で年金を支払うのをやめてしまえば、10年の受給期間を満たせないので、日本で年金をもらえないことになってしまいます。
しかし、ドイツで年金を納めていた期間は、この10年の受給期間としてカウントすることが可能ですので、日本でも年金をもらえるのです。
あ、金額には反映されません、あくまでも期間だけです。
ちなみに、ドイツでの年金受給のための年金加入期間は5年です。
たとえば、ドイツで5年働いて日本に帰っても、ドイツで5年間まじめに年金を納めていたのならば、ドイツでの受給要件も満たすことができます。
将来的には、日本とドイツ両方から年金を受給できる可能性もあるということです。
海外に長期滞在・移住する場合、日本の年金どうする?
年金については、国によって加入要件や義務などがあるので、「こうするべき」と言うのは難しいです。
ですので、わたしの個人的な意見として参考程度に読んでいただければと思います。
わたしは現在日本の年金制度から脱退して、ドイツでのみ年金を支払っています。
金銭的に日本とドイツ両方支払う余裕がなかったのが一番の理由です。
ただ、支払えるのであれば、日本とドイツ両方で支払っておいた方がよかったなと後悔しています。
ドイツでの年金受給のための年金加入期間は5年です。
5年というのは、結構長い期間なので、わたしと同じころにドイツへやってきた同僚や友人はみんな日本に帰ってしまいました。
2、3年で帰った子たちはさすがといいますか、日本でも年金に任意加入をして毎月年金を支払っていました。
ドイツで仕事をしている間も日本で年金を支払っていれば、年金受給資格も障害年金の受給資格も保持することができます。
ドイツで年金を納めていた期間が5年以内の場合は、還付請求をすることで自分が支払っていた分の金額を返還してもらうことができます。
ドイツに戻る予定がないのであれば、ぜったい返してもらうべきです。
(詳しい還付請求のやり方は、ドイツ大使館の「ドイツの年金手続」をご覧ください。)
こういう人も多いので、日本では海外移住者の年金任意加入を認めているんでしょうかね。
でもお金があるのであれば、このやり方が一番スマートだと思います。
お金があればね。
ワーホリなどの中・短期滞在者はどうする?
ワーホリなど1~2年くらいの比較的短期の滞在では日本の税金はどうした方がいいでしょうか。
う~ん、これも難しいところですが、個人的には一時脱退してもいいかなと思います。
理由は以下の二つ。
- ワーホリ中、一時的に日本の年金制度から脱退していても、日本に帰国した後、遡って年金を納めることができる
- ワーホリから現地で就職した場合もスムーズに移住先の国で年金に加入できる
ワーホリで海外に滞在中、余計な支出を避けるためにも年金は一時やめたいと思うのが普通ですよね。
年金は2年間遡って支払うことができるので、いったん年金支払いをとめて、帰ってきたときにまとめて支払うことも可能です。(詳しくは「年金後納制度」参照。)
年金保険料の納め忘れのある方は「後納制度」をご利用ください | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
ワーホリ期間中に就職を決めて、現地で働きだす人もいます。ドイツとかけっこう多いんですよ。
ドイツで働き始めれば、ドイツの年金制度に加入することになります。
日本で年金を止めてきていないと、日本での年金制度を脱退する手続きなどをしなければいけません。
それをしないと、両国で年金を支払うことになります。
滞在が長期になる可能性があるのであれば、日本の年金は止めてきてしまった方が金銭的な負担は軽くなります。
(注)一時派遣などちょっと特殊な理由でドイツに滞在する場合は5年以上の滞在でもドイツの年金への加入が免除されるらしいです。ただ、普通に現地就職したら、ドイツでの年金への加入は必要だと思います。
ただ、次の項でも書きますが、万が一海外で重い病気やけがで障害を負った場合、日本で年金に加入してなければ、障害年金を受給できないので注意です。
年金を脱退するのであれば、こういったデメリットも理解しておくべきだと思います
。
日本の年金に任意加入しておくメリット
海外に長期で滞在する場合、金銭的な負担が大きいので、日本の年金は支払えないよーと思ってしまうものですが、がんばって支払い続けるメリットもあります。
海外に転出した後も、年金に任意加入し支払っていれば、日本で将来もらえる年金の額が多くなります。脱退をして、海外に居住していた場合、海外にいた期間はカラ期間として年金受給要件である10年の期間に加算されますが、金額には反映されません。
将来もらえる年金の額を増やしたい人や最終的には日本に帰る人は、日本での年金は支払い続けた方がいいでしょう。
もう一つは、遺族基礎年金や障害基礎年金の受給資格があるということです。
海外在住時に任意加入したうえで保険料を納めれば,死亡したときや病気やけがで障害が残ったときに遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。
(引例:「日本年金機構」, www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140627-02.html)
これってけっこう重要なポイントだと思います。
健康で過ごせればよいのですが、海外生活でいつどんなときに病気やケガをしてしまうかわかりません。
もし海外で万が一のことが起こってしまった時にでも、自分の国の制度が守ってくれるというのはメリットだと思います。
もちろん海外の社会保障制度でも補償はあるでしょうし、手厚い海外長期旅行保険などで、カバーできる部分もあるかもしれませんが、そのあたりは完全に自己責任だと思います。
「海外に長期滞在する場合、日本での年金どうする?」まとめ
いろいろ書いてきましたが、では実際ドイツに来ている日本人たちがどうしているかというのを自分のまわりでアンケートとってみました。
ワーホリで来ていた子
年金を一時脱退してドイツに来ている場合が多いです。
1年なら後から追納も出来るし、ワーホリ中の支出もセーブできるので賢い選択かと。
ドイツの大学に入学した正規の学生さん
ドイツでは、学生さんは年金支払い義務を免除されています。
そのため、日本で国民年金に任意加入をして、日本で年金を支払い続けています。
お仕事で来ている人
現地でお仕事をしている人は、日本の年金に任意加入している人とそうでない人半々くらいでした。
現地でお仕事をしていても、5年勤めるつもりでくる人は少ないので、やはり2年~3年で帰国する予定で、日本の年金も任意加入しているみたいです。
わたしはお金がなかったので、日本の年金は脱退してドイツでだけ支払っています(泣)
こんな感じで、日本の年金をどうするかは、経済状況や滞在予定期間によって自分にメリットのある方法を選んでください。
年金に関しては皆さんさまざまな意見があり、一概にコレッ!!とおすすめすることはできません。
法律も年々改定されているようで、これから変わっていく可能性もありますので、最新の情報をチェックしながら決めていく必要があります。
「まだ、若いから、年金のことなんて考えなくていいやー」
と気軽に考えていると、のちのち損をすることになってしまいます。
また、海外に住むのであれば、その国の法律はできるだけ調べておいた方がいいと思います。日本との各国との社会保障協定とか知らないと大損ですしね。