海外の会社に就職する場合、日本の会社ではあまりしなくても良い苦労をすることがあります。
それは希望給与の提示と交渉です。
え、お給料って交渉するものなの?
会社から打診されるものだと思ってました!
と、思った人もいらっしゃるのではないでしょうか。
今日は私の知る範囲ではありますが、ドイツでのお給料について書いてみたいと思います。
Contents
ドイツの平均年収は?
あるデータによるとドイツにおける2019年の単身(子なし)の人の平均年収は手取りで約23.663ユーロだそうです。
この数字は前年度と比べて増加傾向にあります。月額にすると1800ユーロ前後と言うことになるでしょうか。
こういったデータは自分がいざドイツで仕事を探すときの目安にはなると思いますが、希望する給与額を自分で言うのって、日本人としてはちょっとためらってしまいますよね。
ドイツに就職する場合の希望給与って?
ドイツの現地企業で面接をする時、必ず希望する給料の額を聞かれます。
現地での生活経験があれば、だいたいの相場がわかると思いますが、日本で暮らしていた私にはかなり難しい質問でした。
— 相場がまったくわからない—
実は日本にいた時からすでに、自分の経歴と職種だと、ドイツではどのくらいのお給料が妥当なのかをドイツのお給料比較サイトで調べていました。
が、この金額を言わなくて正解。
あやうく大恥をかくところでした(汗)
なぜ比較サイトの平均給与では、採用してもらえないか
比較サイトの平均給与は目安にはなりますが、実際に面接時にこのまま提案しない方がいいと、私は考えます。その理由は主に二つです。
①州によって平均給与の差が激しすぎる
例えばこちらのお給料比較サイトを使ってみましょう。
Gehalt, Verdienst und Lohn: Deutschlands größte Gehaltsdatenbank
こちらのサイトで、外国語アシスタントのお給料を調べてみたいと思います 。
検索ボックスに
Fremdsprache Assistant (外国語アシスタント)と入れて検索すると、以下のような結果が出ました。
お給料の金額は州によってかなり差があります。
例えば、平均給与がもっとも高く出たのがヘッセン州で月3,559/月。州都はヴィースバーデンで、経済的にとても豊かな州です。
ミュンヘンがあるバイエルン州は、3,294ユーロ/月。ミュンヘンは家賃が高いことで有名ですが、外国人への求人がも多いので、仕事のためにミュンヘンに移り住んだ同僚もいます。
外国人が多く住んでいるベルリンは、2,923ユーロ/月。日本人としては外せない人気都市です!
一番低い給与が出たのが、Mecklenburg-Vorpommern州で、2,341ユーロ/月。この州はリューゲン島やロストックなど、観光で人気のあるスポットですね。
*お給料の平均値の出方は、検索した時期により大きく異なります。この結果は参考程度にご覧ください。こんな感じで、州によってだいぶお給料に差があることがわかります。(2017年4月現在)
このような平均給与の差は、その州の経済状況や人口が影響していると思われます。
例えば、Mecklenburg-Vorpommern州は人口が少ないので、家賃や生活費がそこまでかからないですよね。
一方、ヘッセン州の平均給与は非常に高いですが、他の州よりも経済的に豊かです。
つまり、仕事がたくさんあり人口も多いため生活費や家賃は高めと推測されます。
このように、人口密度や経済状況などによって、お給料の金額の差が激しいのがドイツです。
また、お給料の金額は西ドイツと東ドイツでも大きく違います。
基本的には西ドイツの方がお給料は高いと考えて大丈夫です。
お給料の金額は人によって違うので一概には言えませんが、最低限自分が働きたい町はどこにあるのか、東ドイツか西ドイツかなどを考えておいた方がが、お給料の交渉もしやすいと思います。
②給料比較サイトの平均値は高く出る
上記のお給料比較サイトで算出された金額は、ドイツで働く外国語アシスタントの給与の平均値でした。
ですが、平均値というのは、お給料のピンからキリまでの給与をまとめて割り出しますので、全体的に高めに設定されます。
例えば、ベルリンのFremdsprache Assistant (外国語アシスタント)の平均給与、2,923ユーロ/月を例に考えてみましょう。
採用担当者に「希望給与はどのくらいですか」
と聞かれて、
「2,923ユーロでお願いします。Berlinの相場ってそのくらいですよね。」
と答えてしまうのはかなり危険です。
*ヨーロッパの場合、実際には希望年収で聞かれることが多いです、そのため月収だけでなくではなく年収で考えるくせをつけた方がいいかも。ここでは日本人にわかりやすく月給で話を進めています。
個人的な印象では、ベルリンの外国語アシスタントの平均給与が2,923ユーロだとしたら、そこから15パーセントから20パーセント低めの値が一般のアシスタント(つまりほぼ未経験)がもらえるお給料だと思います。
*あくまでもわたしの個人的な印象ですので、参考までにご覧ください。
2,923€(算出したベルリンの平均給与)-20%(経験値)=2338ユーロ/月(ほぼ未経験の場合の給与)
これをベースに、ドイツの大学を出ていたり、日本での実務経験がある分野であれば、その分、希望給与を高く設定して打診してみるのが安全策だと思います。
ドイツの大学を出ていなくても、日本で培った経験や能力に自信があれば、そこをガンガン攻めて給与交渉に使った方がいいと思います。
それというのも、控えめになりすぎて、自分の納得していない給与でサインしてしまうと後で、大変なことになってしまうからです……
希望給与の提案は慎重に行わないと大変なことに
控えめになりすぎて、自分の納得していない低い給与でサインしてしまうと、あとで後悔してしまうかもしれません。
ドイツでは、一度契約を結んでしまうと昇給が難しい場合があります。一番最初にサインした希望給与で何年も働かされることもあるかも!?
通常は、年に数パーセントごとに上がるそうなんですが、うちの会社はなかなか上げてくれません(泣)
そのため、私は採用された時の金額のまま何年も働いています。
おそらく外国人が働いている会社は、私のように足元を見られるかもしれないですね。
雇用契約時のお給料交渉はくれぐれも慎重に!
会社と自分の希望給与の合意点をギリギリまで粘って探してください!
手取りはいくらになるのか計算してみよう
さて、せっかくですから希望給与が決まったら実際の手取り額を計算してみましょう。
ドイツでは、独身・子なしの場合、約40パーセントくらいお給料から税金が引かれてしまいます(泣)
そのため、手取りの少なさにショックを受けないためにも事前に計算してみて、お給料日に備えましょう。
今回は英語版のTax Calculatorを使います。
(例)30代女性
ベルリン在住
独身・子どもなし
希望給与:2,923ユーロ/月(実務経験者として採用)
①サイトにアクセスしたら次の項目を埋めていきます。
- 額面の給料(税込金額)
- 西暦
- 税金クラス(独身の場合は、クラス1)
- 住んでいる州
- 年齢
他の項目はそのままで大丈夫ですので、計算ボタン(berechnen)をクリックしてください。
②額面の給料からドイツの税金が引かれた金額が、画面の一番下のNet Salaryに表示されます。
この金額が実際に手取りとしてもらえる金額です。
計算例の女性の手取り金額は、1844,88ユーロということになります。
(注)計算例は私のお給料ではありませんよ!
個人的な印象としてはこの結果は実際の手取りと比べると20~40ユーロほどの誤差があると感じましたが、かなり正確に計算してくれるのでおすすめです。
現地企業と日系企業のお給料はどのくらい違いがある?
ブログでもよくご相談をいただくのですが、わたしは現地企業採用だったので、日本企業の雇用形態やお給料についてはあまり詳しくありません。
でも知人に聞いてみたり、ブログに頂いた相談などから考えると現地企業採用の方がお給料が高くなる可能性が高いと思います。
ドイツ人はよく転職を繰り返してお給料を上げていくので、1つの会社に居続ける人が少ない印象を受けます。
わたしも以前転職活動をしていた時に、思い切って今の会社のお給料より500ユーロアップした金額でお願いしたところ、OKと言われておどろいた経験があります。(たぶんそれだけ最初の会社のお給料が激安だったとも言える)
日系企業は日本人がいて働きやすい職場環境がメリットだと思いますが、上のような給料交渉はなかなか難しいのではないでしょうか・・・?
もちろんドイツで働く場合、お給料の金額だけではなく待遇面も考慮したいので一概には言えませんが、現地企業は外国人ではあっても他のドイツ人従業員と同様に扱ってもらえるので個人的には現地企業の方が好きです。
「ドイツに就職する場合の希望給料ってどれくらい?」まとめ
わたしの場合、お給料はそれほど高くなくていいので、定時で帰れて有給がたくさんもらえるドイツの企業に就職をしました。
日本で働いていた時よりお給料は下がりましたが、そのぶん自由を感じることが多くなりました。
残業なしで帰れますし、上司と飲みに行く必要もありません。
私はドイツ人の同僚とプライベートでも会いますが、基本的にはみんな会社が終われば、解散!という感じで、家族やパートナーのもとに帰って行きます。
お給料はそれほど高くなくても、プライベートの時間が確保できるメリットははずせません。
希望給与の交渉はなかなか難しいですが、けっして妥協せずに粘り強く交渉した方が良いと思います。
私は入社した後に一度だけ契約書を更新していますが、その時に今年は上がらないけどは来年度は給料UPという取り決めを契約書に記載してもらいサインしました。口約束は何の効果もないので、取り決めは全て書面に残すことをおすすめします。
▼ドイツで求人を探すときに使っているサイトをまとめました
ドイツで仕事を探す場合、どこの求人サイトを使えばいい?お給料の相場や就労ビザの取得についての不安を解決
▼ドイツの大学を卒業していないと就職に不利なのか、自分の体験談をもとに書いています。
はじめまして。ドイツ就職について色々と調べていくうちこちらのブログに辿り着きました。
現在、デュッセルドルフの日系企業に内定を頂いたのですが給与の相場がわからず引き受けて良いのか悩んでおります。
フルタイム貿易事務で月額2000ユーロは低いでしょうか。
ハンブルクに住んでいる現在の会社の同僚からは低すぎる暮らしていけないよと言われてしまって。。。アドバイス頂けたら幸いです。
ゆきさん
コメントありがとうございます。
相場がわからないと、ほんと不安ですよね。
日系企業の相場が現地企業と同じなのかよくわかりませんが、個人的にはちょっと低いかなと思います。
ただ、ボーナスがある場合や年々お給料が上がるTarif Vertragという雇用契約の場合、ベースとなるお給料が低く設定されていることがあります。
まずは、上記二点を確認していただくのがよろしいかと。
もしまったくの未経験とかでないなら、そこをアピールしてお給料交渉挑戦してもいいかなと思います。
応援しています!
返信ありがとうございました!
ドイツ語が初級な事と貿易事務経験が数ヶ月しかない事を考えると仕方ないのかもしれません。。
アドバイスありがとうございます。
給与について上記に教えていただいた件を聞いてみます。
助かりました!
これからドイツで就活なのでとってもためになりました!
studentenfutterさん
コメントありがとうございます!
少しでもお役に立てればうれしいです~。