ついにドイツで無期限滞在許可証を取得することができました。
そろえる書類は多いのですが、一つ一つそろえて持っていたら、あっさり審査に通りましたので、実際に無期限滞在ビザを取得するまでにかかった時間や費用、必要書類など詳しくご紹介します。
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ドイツの無期限滞在ビザってどんなメリットがあるの?種類は?
まず、今回私が取得したビザは、Daueraufenthalt–EU(EU圏内の無期限滞在許可証)で Niederlassungserlaubnis (ドイツの無期限滞在ビザ)とは少し違う種類のものです。
Niederlassungserlaubnis (ドイツの無期限滞在ビザ)
ドイツに限り、特定の目的がなくても滞在が認められる滞在許可証です。
特定の目的とは、例えば、勉強目的なら学生ビザ、就労目的なら就労ビザ、フリーランスならフリータンスビザというように滞在の目的によって発行される滞在許可証が違います。
ドイツでは、滞在が許可された内容以外のことをするのは基本NGで、必要であればビザの書き換えをしなければいけません。
私の場合も今までの滞在許可証は勤務先に紐づけられて発行されていました。
つまり期限付きの滞在ビザは、今の滞在目的である大学や仕事がなくなれば、滞在許可証も書き換えなければいけませんでした。
このような期限付き・条件付きの滞在ビザとはちがい、無期限滞在ビザは、仕事に関する一切の制限がなくなりますので、どんな仕事についても良し。会社を辞めても滞在許可証の書き換えは必要ありません。
もちろん仕事をやめて失業者になったとしても合法的にドイツに滞在することができます。(私はこれが目的で取りました、へへ)
原則、更新の必要がないということになりますが、実際にはパスポートの失効期限に合わせてカードを更新する必要があります。
つまり、パスポートの更新に合わせて取得すれば、最長10年間はあの外国人局に行ってわずらわしい手続きをしなくても済むことになりますね!
Daueraufenthalt–EU(EU圏内の無期限滞在許可証)
上記のNiederlassungserlaubnis (ドイツの無期限滞在ビザ)の要件に加え、
ドイツだけでなく、他のEU圏の国にも長期滞在が可能になるということで、EU圏内で仕事をする可能性がある人はこちらのより可能性が広がります。
Niederlassungserlaubnis (ドイツの無期限滞在ビザ)と同様、仕事に関する一切の制限がなくなりますので、勉強してもよし新しい仕事を始めても良し、ビザの更新に悩まされずに安心してドイツに滞在することができます。
Daueraufenthalt–EU(EU圏内の無期限滞在許可証)と Niederlassungserlaubnis (ドイツの無期限滞在ビザ)のちがいって何?
一番大きなちがいは失効期限の猶予期間でしょうか。
無期限滞在ビザはドイツに合法的に滞在できるビザですが、一定の期間ドイツを離れてしまうとその滞在許可をを失効してしまいます。
Niederlassungserlaubnis (ドイツの無期限滞在ビザ) の場合は、この期間が6ヶ月、Daueraufenthalt–EU(EU圏内の無期限滞在許可証)は12ヶ月となります。
ドイツでの制限なしの就業が許可される点は一緒ですが、 Daueraufenthalt–EU(EU圏内の無期限滞在許可証)の場合は、ドイツを離れていても12か月以内に戻って来れば滞在許可は失効しません。
その他にもDaueraufenthalt–EU(EU圏内の無期限滞在許可証)は、ドイツだけではなくEU圏内での仕事する時に役に立つかも…ということです。
ですが、実際には国を移れば仕事を始めれば、その国の就労ビザが必要となりますので、どこの国でも好きに住めて働けるビザではないということです。
「なんだ、ドイツ以外のEUの国では役に立たないのか」と思われてしまうかもしれませんが、例えば、Daueraufenthalt–EUがない状態で、日本人がドイツ以外のEUの国に移住する場合、観光ビザ扱いとなりますよね。
観光ビザではそもそも仕事を探すのはNGなので、まぁ取っておいて損はないのではないでしょうか。
EUブルーカードとの違いは何?
技術者や高所得者の外国人は、Blaue Karte EU(EUブルーカード)を所持している人が多いと思います。
EUブルーカード保持者もDaueraufenthalt–EU申請をすることが可能ですが、通常申請と比べて申請条件がはるかに簡単で優遇されています。
まず、33ヶ月継続してEUブルーカードを持っていれば、即申請可です。
さらに、ドイツ語がB1レベル以上であればさらに短縮され、最短21ヶ月で申請が可能となります。
そもそもEUブルーカードは1年の収入が50.800 € (4.234€/月)以上稼いでいる人が申請できる滞在証なので、それだけドイツにとって有益な人材であるという証明となります。
*科学者、数学者、エンジニア、医師、IT技術者などは1年の収入が39.624€ (3302€/月)で申請可です。
申請書類も通常申請に比べて4つくらいしかありません。
ちなみにEUブルーカードからDaueraufenthalt–EUに切り替える場合、24カ月ドイツを離れていても滞在許可が失効しません。
普通のDaueraufenthalt–EUはこの期間が12か月なので、その倍の期間が与えられています。優秀な人材はいつでも帰ってきてほしいということなのでしょう、きっと。
参照:https://www.bluecard-eu.de/eu-blue-card-germany/
EU圏無期限滞在ビザに必要な書類一覧
さて、ここでは通常のDaueraufenthalt–EU(EU圏の無期限滞在ビザ)を取得する方法について説明していきます。
EU圏の無期限滞在ビザを取得する大前提として、5年以上仕事について年金(60カ月分)を納め続けていることが条件となります。
この条件を満たしていれば大丈夫ですので、必要書類を集めて申請手続きをします。
EU圏の無期限ビザの申請に必要な書類は以下の通りです。
- 申請フォーム (vollständig ausgefüllter Formblattantrag)
- 直近12ヶ月分の給料明細(letzte zwölf Lohnbescheinigungen)
- 健康保険の加入証明書(aktuelle Mitgliedsbescheinigung Ihrer Krankenversicherung)
- 税金関係の納付証明書(Bescheinigung vom Finanzamt, dass keine Steuerschulden bestehen)
- 60か月分の年金納付証明書(Nachweis über Zahlung von Rentenbeiträge über mindestens 60 Monate)
- インテグレーションコースの参加証明書(Nachweis über erfolgreichen Besuch eines Integrationskurses)
- 家の契約書(Mietvertrag mit Nachweis über die Miethöhe)
- 登録料(Bearbeitungsgebühr)
- 証明写真(aktuelles biometrisches Foto)
- パスポート(derzeit gültiger Pass oder Passersatz)
- 現在の滞在許可証カードと付帯用紙(elektronischer Aufenthaltstitel (eAT) und dazugehöriges Zusatzblatt)
- A1以上の語学試験合格証明書(Sprachzertifikat oder Einstufungstest nach DSH, TestDaF oder Telc mindestens auf dem Niveau A1)
最初は、「うわっ多いな」と思いましたが、一つ一つ集めていけば3週間くらいで終わりました。
申請フォーム
お住いの管轄の外国人局のサイトから申請フォームをダウンロードします。
どの申請フォームかわからない場合は、外国人局に問い合わせるとメールもしくは郵送で送ってくれます。(忙しい時期だとメールは無視されるかも)
私の時は、期限更新のお知らせが来た時に申請フォームも一緒に送られてきました。
直近12ヶ月分の給料明細
会社からもらう月々の給料明細直近の12か月分のコピーを用意します。
これは特に説明する必要はないと思います。
健康保険の加入証明書
加入している健康保険の加入証明書です。
健康保険会社の窓口に行って発行してもらうことも出来ますが、最近の健康保険会社はスマホのアプリを提供しているところもあり、オンラインで簡単に発行できます。
私はTKに加入していますが、アプリで証明書をダウンロードできました。
通常は加入日と加入者の情報が記載されたシンプルな1枚の紙です。
税金関係の納付証明書
これは直接Finanzamtに行かないともらえない書類でした。
この証明書は、過去に滞納している税金がないということを証明する書類になります。
過去にフリーランスでお仕事をしていた人は、その時の所得税の情報なども載っています。
私は過去に少しだけ副業をしていた時期があり、その時の情報も載っていましたが、外国人局の担当者に特に指摘されることはありませんでした。
60か月分の年金納付証明書
この書類はオンラインでダウンロードが可能ですが、昨年までのものしかダウンロードできません。
直近のものが欲しい場合はRentenversicherungの事務所に行き、直接交渉するしかありません。
日本人の同僚で、直接行ったら先月のものまで出してもらえたらしく、私も直接事務所に行って担当者の人にお願いしたのですが、ダメでした。
これは担当者によるみたいですねー。
仕方ないので外国人局の人に問い合わせたところ今年の分の確認は給料明細のコピーで確認するから大丈夫ですよと言ってもらえたので一安心。
インテグレーションコースの参加証明書
ドイツに住み始めて間もない人は、ドイツ語インテグレーションコースに通う機会があった人もいたと思います。
ですが、お仕事をしている人は毎日語学学校に通うのは難しいですよね。
私もそうでした。インテグレーションコースには通っていません。
ただ、インテグレーションコースを終えた人が受けるEinbürgerungstestを受けてその合格証のコピーを代わりに提出しました。
Einbürgerungstestを受けたときの様子は以下の記事で書いています。
家の契約書
部屋の大きさや賃料が記載された家の契約書のコピーを提出しました。
私の時は、審査官に何も言われませんでしたが、日本人の同僚でお給料に比べて賃料が高すぎると指摘された人がいました。
ですが、それで申請が却下されたりすることはないので安心してください。
登録料
登録料として109ユーロ支払いました。
現金でもカードでも大丈夫です。
証明写真
カラーの証明写真を申請書と一緒に提出しました。
顔写真はカードに印刷されることはもちろん、ホログラム部分にも使用されます。
長く使われことになりますので、いい写真を用意しておきましょう(笑)
パスポート
パスポートのコピーと原本両方必要です。
パスポートのコピーは提出用、本体は実際に中身を見られます。
パスポート本体も必ず持参してください!
現在の滞在許可証カードと付帯用紙
現在持っている滞在許可証カードと付帯用紙は回収されます。
新しく発行される無期限滞在許可証カードは特記事項がなくなるので、付帯用紙は発行されず、カードのみとなります。
A1以上の語学試験合格証明書
一応申請の条件としてはA1以上の語学試験合格証明書の提出が必要となりますが、私の場合はB1のものを提出しました。
ただ、個人的に感じた印象としては試験のレベルというより、申請時にドイツ語で対応できるかどうかが重要だと思います。
なぜなら、普通に審査官とドイツ語で話しながら申請書類を確認していったのですが、EinbürgerungstestとB1の証明書を見たときに審査官が、
「わざわざこれも(特にEinbürgerungstestの方)取ってくれたの?あはは」
と笑い飛ばされたからです。
だって、必要書類に書いてあったから…と思いましたが、C1レベルに話せる人だったらそもそも語学試験の合格証は必要ないのかもしれません。
私はB2レベルなので一応提出しました。
申請から受け取りまではどのくらいかかるの?
申請書類の許可は次の日にすぐに下りました。
私の場合担当者からメールで「受理されたよー」と連絡をもらうことができました。
ですが、実際にはカードをもらうまで2カ月近くかかりました。
申請が受理されれば4週間くらいでカードは発行されるのですが、受け取りのためにまた外国人局でのアポが必要となります。
毎日予約がぎゅうぎゅうのようで、カードはできても外国人局の予約の関係で2カ月ほと待ちました。
これでも早い方らしくて、ビザの期限に余裕のある人は3か月後くらいになることもあるようです。
無期限滞在許可証を取得した感想
ドイツで住み始めてから、実際には5年9カ月で無期限滞在許可証を取得することができました。
長かったような短かったようなという感じですが、これでいつでも仕事を辞められると思うと重い枷(かせ)が外れた気がします。
今後は仕事を辞めて求職しつつ失業保険ライフを満喫するつもりです。
失業申請から失業保険のもらい方なども続々アップしていきたいと思っています。
興味がある方はぜひぜひ当ブログに遊びに来てくださいね♪
EU圏内での無期限滞在ビザは一度取得しても失効することはあるのですか?
ありますよー。
元ビザがなんだったかで期間が違うみたいです。
基本的に国外に出て1年帰って来なかったら失効します。
Blaue Karteから移行した人は猶予が2年に伸びます。
ここでも収入格差が。。。
詳しい情報どうもありがとうございます。
質問ですが、
Daueraufenthalt–EU(EU圏内の無期限滞在許可証)は12ヶ月となります。
例えば:
ドイツ離れて日本に帰国、12ヶ月以内にドイツに戻って、それからどのくらい期間ドイツに滞在すれば、再びドイツに離れて日本に帰国できますか?
kokoberlinさん、こんにちは。
私も当時担当者に聞いてみたんですが、明確な決まりはないようです。
カードの更新もパスポートを更新した時のみですから、最長で10年は外人局行きませんしね。
何か言われたら、ドイツをベースに生活しているけど、仕事で頻繁に国外に出てますーという感じで大丈夫ではないでしょうか。