ドイツの給与明細書を見ると、いろいろな税金が引かれているんですが、読み方が あまりわからないんですよね。
健康保険や年金、所得税以外にも教会税や連帯税などドイツ独特なものまであります。
項目がわからなくても毎月お給料が振り込まれていれば、まぁいいかと思っていましたが、ドイツで暮らしていく上でどんな税金をどのくらい払う必要があるのか把握しておくことは重要です。
せっかくなので、今回はドイツの給料明細書の見方について調べたいと思います。
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給料の支払日は?
まず、お給料の支払日ですが、多くの会社で月末となっています。
また、給与明細書は支給されず、給与明細書の発行を請け負うDATEVという会社のサイトに自分でアクセスして給料明細書をダウンロードします。
私が働きだした2014年ごろは、まだ紙で手渡しだったのですが、ベーパーレスの傾向はここ数年で進んだ感がありますね。
給与明細書の項目を見てみよう
給与明細書をみると、以下のような項目が記載されています。
収入に関する項目
- Brutto➡税金を引かれる前の金額です。雇用契約にもこの金額が記載されていると思います。
- Netto➡税金が引かれた後の金額です。こちらが手取り収入として自分の銀行口座に振り込まれます。
税に関する項目
- Lohnsteuer(給与所得税)➡収入税金クラス(Lohnsteuerklasse1~6)によって金額に差があります。独身でクラス1で最大で45%ほど引かれることに。
Lohnsteuerklasseの一覧表
- Solidaritätszuschlag(連帯追加金)➡1991年から東ドイツ復興のために課せられている税金です。2018年はLohnsteuer(給与所得税)の5.5パーセントとなっています。
- Kirchensteuer(教会税)➡自己申告ですが、信仰をお持ちの方は支払うことになります。ただ実際にカトリックの日本人の方が住民登録時に申告したそうですが、特に必要ないと言われたので支払っていないそうで、外国人にはあまり関係ないのかも。
引かれる社会保険費
KV-Beitrag/Krankenversicherung(健康保険)➡毎月の収入から14%~14.6%引かれます。私は、TKという保険会社に入っていますが、周りの同僚や友達はAOKが多いです。
RV-Beitrag/Rentenversicherung(年金)➡毎月の収入から18.6%引かれます。2018年になって引き下げとなりました。
また、年金以外にも、医師の診断書があればこの保険から仕事に必要なデスクや椅子の購入代金を支給してもらうことが可能。
AV-Beitrag/Arbeitslosenversicherung(失業保険)➡毎月の収入から3.0%引かれます。ドイツは解雇とか多いんで、大切な保険ですね。
PV-Beitrag/Pflegeversicherung(介護保険)➡毎月の収入から2.55%、子どもがいない人は2.8%引かれます。
これらの社会保険は雇用主が半分負担してくれます。
参考URL:https://www.lohn-info.de/sozialversicherungsbeitraege2018.html
手取りがいくらになるか計算してみよう
なんだけたくさん税金が引かれるのはわかりましたが、実際に手取りがどのくらいになるか気になりますよね。
必要事項を記入すると手取り収入を計算できるサイトがあるので、シュミレーションしてみましょう。
使うのはこちらのサイト。
①必要事項を記入して手取りを算出する
入力する項目は大まかのものだけでOKで、簡単に計算できるのがうれしいですね。
上から順に、
- 額面の収入(契約書に書かれた金額ね)
- 税金クラス(独身子なしの場合は1)
- 子供がいるか
- 教会税を払っているか
- 住んでいる州(例ではWaden-Württemberg)
- 住んでいる町
- 職業(事務職ならSachbearbeiter/-inで大丈夫)
- 健康保険のタイプ(法定保険なら gesetzlich versichertを選択)
以上の項目を選択したらBrechnen(計算する)をクリックします。
②計算結果を確認する
さすがに自分のお給料で計算するのは気が引けるので、私が知っている限り一番低い事務のお給料で計算してみます。
普通の会社でしかも日本人でこの金額はさすがにないと思いますが、海外生活のモットーとして何事も最低のケースを想定しておくことで、生活費の予想も立てやすいです。
お給料1600ユーロ一般事務の場合
額面のお給料が1600ユーロだったとすると、引かれる税金はざっと430ユーロくらいで、振り込まれる手取りの金額は1167.70ユーロとなります。
子供がいたり結婚したりしている場合は税制面でメリットがあるので、手取りの金額は上記より高くなります。
自分の住んでいる地域のお給料相場ってどう調べればいいの?
上の例で計算に使用した金額は、私が知る限りではフルタイムの事務として一番低い金額です。
ですが、ドイツ人の20代前半で事務未経験だとこれくらい安い金額でスタートすることもあります。
東ドイツであれば、手取りが1000ユーロちょっとでも暮らしていけると思いますが、西ドイツはそもそも家賃がとても高い場所があるので、気をつけなければなりません。
ミュンヘンやケルンなどの大都市では家賃だけで1000ユーロ近くになるところもあるそうで、そのぶんお給料の金額は高くなりますが、その分出て行く金額も高いというなんともやるせない感じですよね。
お給料相場の調べ方は別の記事で詳しく書いているのでよかったら読んでみてください。
ドイツでの仕事の自由さとお給料の高さ
ドイツでお仕事ができるってなんかかっこいいですよね。
フレックスタイム制で何時に出社しても良かったり、残業したら別の日に早く帰っていい残業消化制度(Abbau Überstunden)があったり、フルーツや飲み物は常備されていたりと、日本の会社でも積極的に採用してもらいたいポイントがたくさんあります。
ですが、ドイツの会社の自由さは同時に要求される仕事のクオリティの高さを示しています。
ドイツで試用期間が6ヶ月もあり、この期間中は特に主だった理由がなくても雇用主が被雇用者を解雇することが可能です。
私の会社でも即日解雇されその日のうちにに会社を出て行った人を何人か見ています。
昇給は可能ですが、昇給のためには雇用主側から出されるレベルの高い要求を飲まなければなりません。
お給料が安いということは、それほど期待されていないと考えた方が気が楽かもしれませんね。
もしお給料以上の能力を要求されれば、給料交渉をして給料UPなら要求を受け入れる、ダメなら断る勇気も大切です。わたしはドイツの会社での無理がたたり、一度身体を壊しているので、皆さんにも気をつけていただきたいのです。
もちろんどんどん仕事して稼ぎたいから、お給料相場をチェックしてより高いところに応募するというのもアリですが、お給料相場はあくまでも目安として考えて、自分の働きやすいように雇用形態や条件を考えてみるのもいいかもしれません。