ドイツの会社に就職が決まると、雇用契約書にサインをすることになります。
ドイツでは雇用契約書はとりわけ重要な書類です。
口頭で取り交わされた約束はまったく役に立ちません。
特に外国人の場合、労働許可証を取得するために、雇用契約書はドイツの公的機関にも送られ、厳しく精査されます。
そのため、書いてあることはきっちりとチェックしてわからない部分は、サインをする前に雇用主に聞いて確認しておきましょう。
それでは具体的にチェックしてもらいたいポイントを紹介していきますね。
Contents
雇用契約書のチェックポイント
氏名、生年月日
まずは当たり前のことですが、雇用契約書はちゃんとあなた宛てのものでしょうか。
雇用契約書に記載された氏名、生年月日に間違いがないか確認しましょう。
雇用開始日
雇用契約書に記載されたお仕事開始日も日付があっているかしっかりチェックしましょう。
まれに労働許可証がなかなか発行されず、契約書に記載された始業日までに働く労働許可が下りない場合があります。
その場合はできるだけ早く会社に問い合わせて、対策を練りましょう。
私も労働許可証の発行が遅れてしまったため、会社の総務の方にお願いして、外人局に直接問い合わせをしてもらいました。
問い合わせをしてもらった結果、お仕事開始日までになんとか許可が下り、無事にお仕事をスタートさせることができました。
試用期間
ドイツでは試用期間がなんと6カ月もあります。
試用期間の間は、特に理由がなくても雇用主は被雇用者を解雇することができてしまうので、私たち労働者にとっては恐ろしい期間でもあります。
通常の雇用契約書であれば、この試用期間と終了日も書いてあると思います。
お給料の額
私の場合、仮オファーを頂いた時には年俸制で1年トータルでもらえる金額を提示されたのですが、実際の雇用契約書には毎月のお給料の金額が記載されていました。
記載された金額から「社会保険料や健康保険料などを差し引いた金額が振り込まれますよ」、といったことも書いてありました。
ですので、契約書に書かれたお給料から税金がうんと引かれた金額が手取りとして振り込まれると思いますので、びっくりしないでくださいね。
独身で子どもがいない場合、額面のお給料から約40パーセントの税金が引かれます。
交通費の有無
会社によっては月額の交通費を支払ってくれる会社もあります。
私の場合、月決めのフリーパスに申し込んで、その分の金額が毎月のお給料にプラスして支払われています。
労働時間、契約期間など
勤務時間も人によって様々なタイプがあります。
同じ会社に働いていても契約によって、出社時間や1日の労働時間はまったく違いますので注意しましょう。
例えば、フルタイムで勤務時間が決められている場合、9時から5時半までの勤務で、30分のお昼休憩を含むなどの例があります。
フレックスタイムも日本より盛んだと思います。フレックスの契約の人は、もっと遅い時間に出社する人もいますよ。
会社によってはタイムカード制のところもありますので、自分の場合はどうなるのか、雇用契約書でしっかり確認しておきましょう。
また、人によっては雇用期間が定められている場合もあります。
無期限雇用の人は気にする必要はありませんが、雇用期間に制限がある場合、何カ月、何年の間働くことができる契約なのかチェックしておく必要があります。
有給日数
ドイツでは有給は30日くらい取れるようですが、これも会社によって違うようです、
私の会社は初年度は27日の有給がもらえ、年々増えていき、最大で30日になるということが書いてありました。
中にはもっと少ないところもあるらしいです。
雇用契約書には年々お給料が上がっていくタイプとそうでないものがある
ドイツの雇用契約には、お給料が段階的に上がっていくTarifvertragというタイプとそうでないタイプがあります。
日本で会社に勤めていると、「昇給」という形で、半年に1回もしくは1年に1回お給料が上がっていくタイプのものが多いですよね。
ですがドイツの場合、必ずしもお給料が段階的に上がっていくTarifvertragだとは限りません。
なぜなら私の雇用契約書もTarifvertragではなかったから(泣)
雇用契約がTarifvertragでない場合は、自分で上司に掛け合ってお給料を上げてもらうしかありません。
まっとうな会社であれば、年に1、2回面談のような形で、話し合いの機会を用意してくれるので、その時にお給料交渉をすることができます。
ちょっとブラックな場合には、話し合いの機会を設けてくれないかもしれませんので、タイミングを見計らってボスを捕まえてお給料交渉をしなければなりません。
特に自分からアクションを起こさなければ、お給料はずーっと上がりませんので気を付けてくださいね。
基本給が低くても、ボーナスがっつり出る場合も
ただ、基本給が低くても、働きに応じてボーナスが支給される会社もあります。
その場合基本給は低く抑えられていますが、ボーナスによって基本給の低さをカバーしている会社もあるので、こちらもチェックしておきたいところです。
また、クリスマス休暇ボーナスやバケーションボーナスというのがでる会社もあるらしいです!
ボーナスの支給に関しても雇用契約書に記載がされている必要があります。必ず確認しておきましょう。
契約書に書かれたお給料が適正なのかわからない……そんな時は
日本で暮らしていた人がドイツの会社に雇用される場合、提示されたお給料が適正なのかどうか判断が難しいところです。
別にそこまで高くなくてもいいけど、人並みに生活できる程度はほしい。
(いや高い分にはうれしいけど)
というのが本音ではありますが、お給与の相場がわからないとその判断すらできません。
そんな時にはお給料比較サイトを使ってみましょう。
検索ボックスに職業を入力して検索すると、州ごとのお給料相場を見比べることができます。
東ドイツと西ドイツの間にはいまだに経済格差があります。
基本的には西ドイツの方がお給料が高く、東ドイツの方がお給料は低いです。
ただ、家賃や生活費などは東ドイツの方が安い場合が多いので、東ドイツにお住いの場合は、お給料がびっくりするくらい低くても意外となんとかなります。
お給料比較サイトの詳しい使い方はこちらの記事にも書いてありますので参考にしてみてください。
サインをする前に不安な部分はしっかりと確認を
雇用契約書は会社と自分の雇用内容を確認するとても大切な書類です。
ドイツ語でよくわからなかったけど、大丈夫だと思ってサインしちゃった。
そんな人はいないと思いますが、契約書の内容にわからない部分があるのにサインをしてしまえば、自分はその内容に同意したことになります。
そうなってしまえば、契約内容を変更することは難しくなります。
雇用契約書へのサインは慎重に行いましょう。
必要であれば、ドイツ語が分かる人に読んでもらったり、会社に英語の契約書を用意してもらえるのであれば、お願いしてもいいと思います。
ただ、英語の雇用契約書にサインをしても、裁判所に雇用契約書の提出を求められた場合、ドイツ語に翻訳されたものが要求されます。
英語のものとドイツ語に翻訳されたものがちがう……なんてことはないと思いますが、裁判所はあくまでもドイツ語の雇用契約書を採用しますので、その点は注意しておく必要があります。